1霊夢
ゆっくり霊夢です。
2魔理沙
ゆっくり魔理沙だぜ。
3霊夢
ねえ魔理沙。
薬害エイズ事件、薬害肝炎事件って、結局、どうなったの?
4魔理沙
霊夢、突然どうしたんだ?
5霊夢
歴史に残る大事件だったはずなのに、結果については知らないのよ。
6ま
そうか、それなら今日は、薬害エイズ事件と薬害肝炎事件について解説していこうか。
7れ
是非ともお願いします!
それじゃあ、
8まれ
1 事件の概要
9ま
薬害エイズ問題と薬害肝炎問題は、複雑化した情報が拡散されているため、事件の真相が不明になってしまっているんだ。どこかの黒幕が情報操作をしているのか、いないのかは不明だが。だから、今回は、極力シンプル化して事件の全容を伝えるぜ。
「いつ」起こったのか?
まず、いつ起こったのかについてだ。
この事件は、1980年代後半に起こったんだ。事件の原因となるエイズが肝炎を引き起こした薬剤は、血液製剤の「非加熱製剤」という薬剤なんだが、この「非加熱製剤」は1988年まで使用されていたんだ。
そして、エイズや肝炎を引き起こさない「加熱製剤」は、1987年に承認され使用が開始されたんだ。
ちなみに、血液製剤の処理は、1986年までは、全部非加熱だったんだ。
でも、科学が進歩して、非加熱だとウイルスが不活性化されず感染することが解ってきたから、加熱処理するようになったんだ。
この1987年から1988年の間は、「非加熱製剤」と「加熱製剤」の両方が市場に出回っていて、この間が、事件の起きた時期ということになるぜ。
10れ
激動の時期だね。でも、魔理沙、そもそも誰が血液製剤を使用するの?
「誰に」起こったのか?
11ま
血液製剤を使用する必要があるのは、ざっくりとわけて2種類だ。
1つは、大量出血した患者さん。つまり、輸血が必要な患者さんだな。具体的には、交通事故や大けがで、大量出血した患者さんや、手術や出産時などで、危機的出血をした患者さんだな。
もう1つが、血友病の患者さんだ。血友病とは、「血液凝固因子」が生まれつき不足しているため、「止血」がうまくいかない病気のことだ。定期的に血液製剤を投与しなければならないんだ。
事件が起こったのは、この血友病の患者さんだ。
12れ
ふーーーん。
血友病の患者さんは定期的に使用するから、当然使用量が多くなるし感染のリスクも大きくなるということかしら。
13ま
そういうことだ。
14れ
それで、非加熱製剤を投与した血友病の患者さんに何が起こったの?
「何が」起こったのか?
15ま
今回の事件で患者に発症した疾患は大きく分けて3つ。エイズ、C型肝炎、B型肝炎だ。
まず、エイズ。これは、HIVというウイルスに感染して発症する疾患だ。エイズは、免疫不全となる疾患で死に至る場合がある。
次は、C型肝炎。これは、HCVというウイルスに感染して発症する疾患だ。C型肝炎が発症すると、肝硬変や肝臓癌に移行することがあり、死に至る場合がある。
次は、B型肝炎。これは、HBVというウイルスに感染して発症する疾患だ。B型肝炎もC型肝炎同様、死に至る場合がある。
事件化したのは、この中の、エイズ、つまりHIV感染と、C型肝炎、つまりHCV感染だ。
日本では当時の全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染してしまったんだ。
さらに、多くの人がHCVに感染してC型肝炎が418人に発症してしまったんだ。
あとは、実際には事件化していないから表面化していないが、非加熱製剤によって、HBVに感染しB型肝炎を発症してしまった患者さんもいる。ある意味、B型肝炎の発症が一番闇が深いかもしれないぜ。なぜなら、人数が多すぎて、もはやカウント不能になってしまっているんだ。
16れ
当然、B型肝炎が一番やばいでしょ?どうして事件化していないのよ?
17ま
シーっ。静かにしろ、霊夢。大きな声を出すと、当局の担当官に目を着けられて、その辺りの道を歩けなくなる、、かもしれないぞ。国民にバレてはいけない、、のかもしれないぞ。
18れ
何よ、その陰謀論は?
19ま
まあ、冗談だ。ただ、真実は、わからん。深堀したら、情報を見つけたことには見つけたんだが、カオスで収集がつかなかったんだよ。。
20れ
ところで、何で、血友病の患者さんに非加熱の血液製剤を使ったのよ?
21ま
まず、図をみてくれ。
血友病の患者さんというのは、血液製剤を使用しないと、寿命が短くなってしまうことが多かったんだ。だから、そもそも血液製剤というのは、患者さんにとってとても素晴らしい薬なんだということを理解しろよ!
22れ
ふーーーーん、そうなんだ。
23ま
それで、じゃー、非加熱製剤と加熱製剤のどちらを使用するかということなんだが、これが難しい状況があったらしい。いろんな因子が関連しているんだ。
まず、1986年までを見てみる。この時は、そもそも日本で加熱製剤が承認されていない。つまり、使いたくても、ないんだよ。
じゃー、非加熱製剤についての安全性についての科学的知見はどうだったかというと、まだ、議論中だ答えは出ていない。答えは出ていないが、加熱製剤がないんだから、非加熱製剤を使うしかないという状況だ。
問題は、1987年以降だ。1987年の4月に加熱製剤について承認が取得され、供給が開始されたんだ。そして、非加熱製剤は、逆に回収されはじめた。ただし、本格的な回収がはじまったというわけではないんだ。なぜなら、非加熱製剤の安全性に問題があるという結論には至っていなかったし、加熱製剤の安全性にも疑問点があったからなんだ。だから、市場にある非加熱製剤は、そのまま使用されていたんだ。
そして、1988年から。この時くらいから徐々に、非加熱製剤が危ないことについて、より詳細がわかってきて、しかも、加熱製剤の安全性についても、より詳細がわかってきたんだ。じゃー、具体的にいつからなのかというと、明確に線引きができる、というわけではない。だから、1988年になっても非加熱製剤が使用されてしまったケースがあるということだ。
24れ
私たちには、何が正しいかは判別できないわね。魔理沙、それで裁判はどうなったのよ?
2 裁判の結果
25ま
裁判の主な被告は、図のとおり「ミドリ十字」の関係者だ。刑事裁判、民事裁判が行われている。
そして、公的機関から公開されている情報をまとめると、
まず、刑事裁判の結果は、
ミドリ十字株式会社の元社長 松下廉蔵が、薬害エイズと薬害肝炎に関して、業務上過失致死罪で有罪が確定。
厚生労働省 薬務局生物製剤課(松村明仁 課長)が、薬害エイズに関して、業務上過失致死罪で有罪が確定。
帝京大学医学部附属病院 第一内科長 安部たけし教授は、薬害エイズに関して、公訴棄却で確定。
となったぜ。
ちなみに、ミドリ十字株式会社の元社長 松下廉蔵は、ミドリ十字の前は、厚生省薬務局長をやっていて当時薬害事件で問題となっていた「サリドマイド事件」を担当していたぜ。その後、ミドリ十字に天下りをしたんだ。
民事裁判は、1996年3月29日にHIV感染者、および、エイズ発症患者に月15万円を支給することで、被害者と加害者の一部の間で和解が成立したんだ。ただし、B型C型肝炎発症患者、HBV・HCV感染者への和解金は不明だ。
さらには、原告になっていない被害者への支払いの結果については、未公開だし、既に亡くなった方への支払いも未公開だ。
また、裁判とは別に、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度により、亡くなった方、また、HIV/HBV/HCVに感染された方へ、どれだけの金額が支払われたのか、あるいは支払われなかったのかについても未公開だ。
26れ
不明な点が多いのね。でも、民事裁判は少しずつ進展しているようで少し安心したわ。ただ、刑事裁判の結果は、一般の人には何が何だかわからなくて、もやもやするのよね。それで、帝京大学の安部たけし教授の公訴棄却って、有罪なの、無罪なの?
27ま
安部教授は、一審は無罪だったが、検察によって上告されたんだ。そして、安部教授は2004年2月に病気になり公判停止となり、2005年4月25日に亡くなられたんだよ。公判中に亡くなると、「公訴棄却」となるんだ。だから、「公訴棄却」は、有罪でも無罪でもない状態のことだ。
28れ
そうなのね。何だか、よく全然わからないわね。だから、ニュースにもならなかったのかしら?
29ま
さあな。全体をまとめることが難しすぎて、テレビ局がニュース作れなかっただけなんじゃないか?
30れ
ねー、魔理沙、ところでさー、ミドリ十字とか、血液製剤関連の会社の創業者や役員には、戦前の731部隊の関係者が多いとかいう噂があるけど、本当なの?
31ま
しらねーよ。ってか、自分で調べろ!
32まれ
最後まで、ご視聴ありがとうございました!